感染症の予防及びまん延の防止のための指針

1.総則

グループホーム ねむの樹(以下「事業所」という。)には、入居者の健康と安全を守るための支援が求められている。入居者の安全管理の観点から感染対策は、きわめて重要であり、入居者の安全確保は事業所の責務であることから、感染を未然に防止し、感染症が発生した場合、拡大しないよう可及的速やかに対応する体制を構築することが必要である。

この指針は、感染予防・再発防止対策及び集団感染事例発生時の適切な対応等事業所における感染予防対策体制を確立し、適切かつ安全で、質の高い支援の提供を図ることを目的とする。

2.感染管理体制

(1)感染対策委員会の設置

ア 目的

事業所における感染管理活動の基本となる組織として、感染対策委員会を設置する。感染対策委員会は、以下のような役割を担う。

  1. 事業所の課題を集約し、感染対策の方針・計画を定め実践を推進する。
  2. 決定事項や具体的対策を事業所全体に周知するための窓口となる。
  3. 事業所における問題を把握し、問題意識を共有・解決する場となる。
  4. 感染症が発生した場合、指揮の役割を担う。
イ 感染対策委員会の構成

感染対策委員会は、次に掲げる者で構成する(カッコ内は担当分野)。

  1. 管理者(委員長) ※感染対策担当者
  2. 介護支援専門員(委員長補佐)
  3. 介護職員(日常的なケアの現場の管理)
  4. その他管理者が必要と認める者(施設外の専門家等)

※ 感染対策担当者
感染対策担当者は、事業所内の感染症発生の予防及びまん延の防止のための具体的な原案を作成し、感染対策委員会に提案する。なお、感染対策担当者は他業務との兼務を可とする。
※ 外部専門家
事業所外の協力医療機関の医療従事者(医師・看護師等)

ウ 感染対策委員会の活動内容

感染対策委員会は、委員長の召集により感染対策委員会を定例開催(6ヶ月毎に1回)に加えて、地域で感染症が増加している場合や事業所内で感染症発生の疑いがある場合等は、必要に応じ随時開催する。

委員会では、「感染症の予防」と「感染症発生時の対応(まん延防止等)」のために必要な次に掲げる事項について審議する。なお、委員会での議論の結果や決定事項については、すみやかに職員に周知を図る。

  1. 事業所内感染対策の立案
  2. 感染に関する最新の情報を把握し、指針・マニュアル(BCP)等の作成及び見直し
  3. 事業所内感染対策に関する、職員への研修の企画及び実施
  4. 新入居者の感染症の既往の把握
  5. 入居者・職員の健康状態の把握
  6. 感染症発生時における感染対策及び拡大防止の指揮
  7. 各係での感染対策実施状況の把握と評価、改善を要する点の検討

(2)マニュアルの実践と遵守

作成したマニュアルを日常の業務の中で、遵守、徹底するために、次の点に配慮する。

  1. 職員全員がマニュアルの内容を確実に理解すること。
  2. 職員を対象とした定期的講習会や研修を開催すること等により、周知徹底する。
  3. 日常業務の際、必要な時に参照できるように、いつも手に取りやすい場所に置く。
  4. 記載内容は、読みやすく、わかりやすく工夫し、現場で使いやすくする。
  5. 実践をイメージした訓練の実施や会議等を通して、記載内容が現実に実践できることであるかを確認する。
  6. 遵守状況を定期的に確認(自己確認、相互確認)する。
    平常時から、感染症発生時の関係者の連絡網を整備するとともに、関係者が参加して発生を想定した訓練を行い、一連の手順を確認しておく。
    例えば、介護職員による異常の発見から、医師への報告、管理者への報告、さらに管理者から行政への報告、保健所への連絡等の「報告・連絡系統」を確認するとともに、管理者や医師、保健所等の指示に基づく現場での対応方法についても、現場で訓練を行いながらの確認などを実施する。

(3)職員研修の実施

当事業所の職員に対し、感染対策の基本的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を目的とした「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」を感染対策委員会の企画により、以下の通り実施する。

ア 新規採用者に対する研修

新規採用時に、感染対策の重要性と標準予防策に関する教育を行う。

イ 全職員を対象とした定期的研修

全職員を対象に、別に感染対策委員会が作成するカリキュラムに基づき定期的な研修を年2回以上実施する。

(4)訓練

感染者発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた本指針及び研修内容に基づき、全職員を対象に年2回以上の訓練を実施する。内容は、役割分担の確認や、感染対策をした上での支援の演習などを実施するものとする。訓練方法は、机上訓練と実地訓練を組み合わせながら実施する。訓練の企画、運営、実施記録の作成は、感染対策委員会が実施する。

(5)その他

ア 記録の保管

感染対策委員会の開催記録等、事業所内における感染対策に関する諸記録は保管する。

3.日常の支援にかかる感染管理(平常時の対策)

(1)入居者の健康管理

管理者を中心に、入居者の健康を管理するために必要な対策を講じる。高齢者は感染症に感染すると重症化するリスクがあるため、標準的な予防に取り組みつつ感染症が発生した場合は拡大を防止することが重要となるため、早期発見及び適切かつ迅速な対応を行うこととする。

  1. 入居時における健康状態及び感染症に関する既往歴、ワクチン接種歴について把握する。
  2. 入居者の日常を観察し、体調の把握に努め、通常と異なる症状が認められた場合は、医師に報告する。
  3. 入居者の体調、様子などを共有する方法を構築する。

(2)職員の健康管理

管理者を中心に、職員の健康を管理するために必要な対策を講じる。事業所の職員は、事業所の外部との接触の機会を通じ、事業所内に病原体を持ち込む可能性があることを認識する必要がある。特に介護職員は、日々の業務において、入居者と密接に接触する機会が多く、入居者間の病原体の媒介者となるおそれもあることから、健康管理が重要となる。

  1. 入職時の感染症(水痘、麻しん、風しん、流行性耳下腺炎及びB型肝炎)の既往やワクチン接種の状況を把握する。
  2. 定期健診の必要性を説明し、受診勧奨を行い、確実な受診を促す。
  3. 職員の体調把握に努めるとともに職員の家族が感染症に感染した場合の相談体制を整える。
  4. 体調不良時の連絡方法を周知し、申告しやすい環境を整える。
  5. 研修等を通して職員自身が日頃から自分の健康管理に注意を払うよう啓発を行う。
  6. 職員の感染に対する知識を評価し、不足している部分に対し、教育、指導する。
  7. ワクチン接種の必要性を説明し、接種を推奨するとともに積極的に、ワクチン接種の機会を提供し、円滑な接種がなされるよう配慮する。
  8. 職員が業務において感染症の感染リスクがあった場合の報告体制及び医師への適切な処置を仰ぐ体制を整える。

(3)標準的な感染予防策

管理者を中心に、標準的な感染予防策の実施に必要な対策を講じる。

ア 介護ケアにおける感染予防策
  1. 手指衛生の実施状況(方法、タイミングなど)を評価し、適切な方法を教育、指導する。
  2. 個人防護具の使用状況(ケアの内容に応じた防護具の選択、着脱方法など)を評価し、適切な方法を教育、指導する。
  3. 食事介助時の対応を確認し、適切な方法を指導する。
  4. 排泄介助時の対応を確認し、適切な方法を指導する。
イ 入居者の感染予防策
  1. 食事前後、排泄後を中心に、できるかぎり日常的な手洗い習慣が継続できるよう支援する。
  2. 手指を清潔に保つために必要な支援について検討し、実施する。認知症等により清潔行為の実施が難しい場合は、手洗いの介助、ウェットティッシュ等による拭き取り等を行う。
  3. 共用物品の使用状況を把握し、清潔に管理する。
ウ 衛生資材の備蓄

十分な必要物品(アルコール、マスク、手袋、ガウン、フェイスシールド等)を確保し、管理する。

(4)衛生管理

管理者を中心に、衛生管理に必要な対策を講じる。

ア 環境整備
  1. 事業所内の環境を清潔に保つため整理整頓、清掃を計画的に実施し、実施状況を評価する。
  2. 換気の状況(方法や時間)を把握し、評価する。
  3. 共用部分の床やトイレ、浴室等は特に丁寧に清掃、消毒を計画的に実施し、実施状況を評価する。
  4. 効果的な環境整備について、教育、指導する。
イ 食品衛生
  1. 食品の入手、保管状況を確認し、評価する。
  2. 調理工程の衛生状況を確認し、評価する。
ウ 排泄物等の処理。
  1. ケアごとの標準予防策を策定し、周知する。
  2. 排泄物等の処理方法について、教育、指導する。
  3. 処理方法、処理状況を確認する。

4.発生時の対応

(1)感染症の発生状況の把握

感染症や食中毒が発生した場合や、それが疑われる状況が生じた場合には、以下の手順に従って報告する。

  1. 職員が入居者の健康管理上、感染症や、食中毒を疑ったときは、速やかに入居者と職員の症状の有無(発生した日時、階及び居室ごとにまとめる)について別に定める様式によって管理者に報告する。
  2. 管理者は、感染症や食中毒が発生した場合や、それが疑われる状況について報告を受けた場合は、事業所内の職員に必要な指示を行う。またその内容が、地域保健所等への報告に該当する時は、受診状況と診断名、検査、治療の内容等について報告するとともに、関係機関と連携を図る。

(2)感染拡大の防止

職員は感染症若しくは食中毒が発生したとき、又はそれが疑われる状況が生じたときは、拡大を防止するため速やかに以下の事項に従って対応する。

ア 介護職員
  1. 発生時は、手洗いや手指の消毒、排泄物・嘔吐物の適切な処理を徹底し、職員を媒介して感染を拡大させることのないよう、特に注意を払う。
  2. 協力医療機関の医師や看護職員の指示を仰ぎ、必要に応じて事業所内の消毒及び入居者の隔離などを行う。
イ 管理者
  1. 協力医療機関や保健所に相談し、技術的な応援を依頼するとともに指示をうける。
  2. 感染状況を本人へ説明し、感染対策(マスクの着用、手指衛生、行動制限など)の協力を依頼する。
  3. 感染者及び感染疑い者と接触した関係者(職員、家族など)の体調を確認する。

(3)かかりつけ医・協力医療機関や保健所、行政関係機関との連携

管理者を中心に、必要な関係機関との連携について対策を講じる。

ア かかりつけ医・協力医療機関との連携
  1. 感染者及び感染疑い者の状態を報告し、対応方法を確認する。
  2. 診療の協力を依頼する。
  3. かかりつけ医・協力医療機関からの指示内容を事業所内で共有する。
イ 保健所との連携
  1. 疾病の種類、発生状況により報告を検討する。
  2. 感染者及び感染疑い者の状況(人数、症状、事業所における対応状況等)を報告し、指示を確認する。
  3. 保健所からの指導内容を正しく全職員に共有する。
ウ 市町村等の行政関係機関との連携
  1. 報告の必要性について検討する。
  2. 感染者及び感染疑い者の状況の報告し、指示を確認する。

(4)関係者への連絡

管理者、法人代表者を中心に、関係先との情報共有や連携について対策を講じる。

  1. 事業所等、法人内での情報共有体制を構築、整備する。
  2. 入居者家族や保護者(成年後見人等)との情報共有体制を構築、整備する。

(5)感染者発生後の支援(入居者、職員ともに)

管理者、法人代表者を中心に、感染者の支援(心のケアなど)について対策を講じる。

  1. 感染者及び感染疑い者の病状や予後を把握し、協力医療機関に適宜報告し対応方法を確認する。
  2. 感染者及び関係者の精神的ケアについて、関係機関と連携しケアに努める。

5.感染症対策マニュアル等の整備と活用

  1. 各事業所において、感染症対策マニュアルを整備するとともに、マニュアルに沿った感染対策に努める。
  2. マニュアルを定期的に見直し、最新情報を掲載する。
  3. 「介護現場における感染対策の手引き(厚生労働省)」を踏まえ、感染対策に常に努める。

6.本指針の閲覧に関する基本方針

本指針は、利用者・家族や関係機関により希望があった場合にはすぐに閲覧できるようにしておくとともに、ホームページで公表する。

高齢者虐待防止の為の指針

1.虐待防止に関する基本的考え方と定義

当施設では、高齢者虐待防止法の理念に基づき、高齢者の尊厳の保持、人格を重視し、虐待の防止と共に虐待の早期発見・早期対応に努め、高齢者虐待に該当する次の行為のいずれも行いません。

  1. 身体的虐待:高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。また、正当な理由なく身体を拘束すること。
  2. 介護・世話の放棄・放任:高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。
  3. 心理的虐待:高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応・無視・嫌がらせ行為・その他の高齢者に著しい心理的外傷・情緒的な苦痛を与える言動を行うこと。
  4. 性的虐待:高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
  5. 経済的虐待:高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。

2.虐待防止検討委員会と虐待防止に向けた取り組み

  1. 当施設では、虐待発生防止に努める観点から、虐待防止のための指針を整備し、参加職種・人数に決まりはないが、虐待防止検討委員会を設置し、当施設に所属する介護支援専門員より責任者と管理部門を選任し、おおむね6カ月に1回以上開催します。また、虐待の発生又は発生が疑われる場合は、その都度開催し、それら委員会の会議内容は記録する。
  2. 虐待を防止するための職員に対する研修の実施を、℮ラーニングを含め年3回行います。また、研修の内容は記録しておくものとする。
  3. 外部研修に参加した際は、他の職員への伝達講習を行います。
  4. 虐待防止検討委員会は、虐待の予防・早期発見に向けた取り組み、虐待が発生した場合の対応、虐待の原因分析と再発防止策の検討等を役割とする。

3.虐待が発生した場合の対応と報告体制

  1. 職員が他の職員による虐待を発見した場合、また、その疑いがある場合は直ちに委員会を開催し、客観的な事実確認を行う。
  2. 虐待の事実を把握した場合において、緊急性の高い事案の場合は、行政機関及び警察等の協力を仰ぎ、被虐待者の権利と生命の保全を最優先する。
  3. 虐待者が職員であることが判明した場合は、発見者の権利が不当に侵害されないよう配慮し、虐待を行った当人に事実確認を行い、厳正に対処する。
  4. 事実確認がされた場合は、当人に対応の改善を求め、必要な措置を行います。また、必要な措置を行っても改善しない場合や緊急性がある場合は市町村の窓口等の外部機関への報告・相談を行い、対応して行きます。
  5. 虐待が発生した場合や利用者及びその家族からの苦情処理体制の整備と虐待防止のための処置として、虐待防止検討委員会は苦情及び虐待の内容の詳細を確認し検討会議を開催した後、職員全員に対し検討会議の結果をまとめ具体的な対応を指示する。また、利用者又はその家族に対し、検討会議の結果と具体的な内容を報告する。

4.成年後見制度の利用支援

入居者及びその家族に対して、利用可能な権利擁護事業等の情報を提供し、必要に応じて、行政機関等の関係窓口、身元引受人等と連携のうえ、成年後見人制度の利用を支援する。

5.当指針の閲覧

当指針は、入居者及び家族が何時でも施設内にて閲覧できるようにするとともに、ホームページ上にも公表する。

6.その他

権利擁護及び高齢者虐待防止等のための内部研修のほか、外部研修にも積極的に参加し、入居者の権利擁護とサービスの質の向上を目指すよう努める。

身体的拘束等適正化のための指針

施設における身体的拘束等の適正化に関する基本的考え方

 

「私達は身体的拘束廃止に向けて最大限の努力を行わなければならない」

「私達は身体的拘束ゼロ及びサービスの質の向上を目指して実績を蓄積しなければならない」

「私達は自信を持って提供できるサービスを目指し、組織をあげて身体拘束廃止に取り組む」

  1. 身体的拘束は廃止すべきものである
  2. 廃止に向けて常に努力を行わなければならない
  3. 安易に「やむを得ない」で身体拘束を行わない
  4. 身体的拘束を許容する考え方はやめるべきである
  5. 全員の強い意志で「チャレンジ」をする(ケアの本質を考える)
  6. 創意工夫を忘れない
  7. 利用者様の人権を一番に考慮すること
  8. 福祉のサービスの提供に誇りと自信を持つこと
  9. 身体的拘束廃止に向けてありとあらゆる手段を講じること
  10. やむを得ない場合利用者様・家族の方に対する十分な説明を持って身体的拘束を行うこと
  11. 身体的拘束を行った場合常に廃止をする努力を怠らないこと(常に「0」を目指すこと)

■身体的拘束適正化検討委員会その他施設内の組織に関する事項

身体的拘束を適正化することを目的として、「身体拘束廃止委員会」を設置する。

身体拘束廃止委員会は3ヶ月に1回以上開催し、次のことを検討する。

  1. 高齢者虐待・身体的拘束等に関する規程及びマニュアル等の見直し
  2. 発生した「身体的拘束」の状況、手続き、方法について検討し、適正に行われているかを確認する。
  3. 虐待又は身体的拘束等の兆候がある場合には慎重に調査し、検討及び対策を講じる。
  4. 教育研修の企画・実施
  5. 日常的ケアを見直し、利用者様に対して人として尊厳のあるケアが行われているかを検討する。

■身体的拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針

  • 新人採用時には、身体的拘束等の適正化に関する研修を必ず実施する。
  • 年間研修計画に基づき、年間2回以上の身体的拘束等の適正化に関する教育を行う。

■施設内で発生した身体的拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針

介護保険指定基準の身体的拘束禁止規定

「サービスの提供にあたっては、当該入所者(利用者)又は他の入所者(利用者)等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者(利用者)の行動を制限する行為を行ってはならない。」

介護保険指定基準において禁止の対象となる具体的な行為

 

  1. 徘徊しないように、車椅子や椅子、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
  2. 転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
  3. 自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。
  4. 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。
  5. 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、又は皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。
  6. 車椅子や椅子からずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型抑制帯や腰ベルト、車椅子テーブルをつける。
  7. 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する。
  8. 脱衣やおむつはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。
  9. 他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る。
  10. 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
  11. 自分の意志で開くことの出来ない居室等に隔離する。

身体的拘束等を行わずにケアを行うために(3つの原則)

  1. 身体的拘束を誘発する原因を探り除去する
    身体的拘束をやむを得ず行う場合、その状況には必ず理由や原因がある。ケアする側の関わり方や環境に問題があることも少なくない。その人なりの理由や原因を徹底的に探り、除去するケアが必要である。

  2. 5つの基本ケアを徹底する
    5つの基本的ケア

    以下の5つの基本的なケアを実行することにより、点滴をしなければならない状況や、転倒しやすい状況をつくらないようにすることが重要である。
    1. ① 起きる
      人は座っているとき、重力が上からかかることにより覚醒する。目が開き、耳が聞こえ、自分の周囲で起こっていることがわかるようになる。これは仰臥して天井を見ていたのではわからない。起きるのを助けることは人間らしさを追求する第一歩である。
    2. ② 食べる
      食べることによって人にとって楽しみ、生きがいであり、脱水予防、感染予防にもなり、点滴や経管栄養が不要になる。食べることはケアの基本である。
    3. ③ 排泄する
      なるべくトイレで排泄することを基本に、おむつを使用している人については、随時交換が重要である。おむつに排泄物がついたままになっていれば気持ち悪く、「おむついじり」などの行為につながつことになる。
    4. ④ 清潔にする
      きちんと風呂に入ることが基本である。皮膚が不潔であればかゆみの原因になり、そのために大声を出したり、夜眠れずに不穏になったりすることになる。皮膚をきれいにしておけば、本人も快適になり、また、周囲も世話をしやすくなり、人間関係も良好になる。
    5. ⑤ 活動する(アクティビティ)
      その人の状態や生活歴に合ったよい刺激を提供することが重要である。具体的には、音楽、工芸、園芸、ゲーム、体操、家事、ペット、テレビなどが考えられる。言葉によるよい刺激もあるし、言葉以外の刺激もあるが、いずれにせよ、その人らしさを追求する上で、心地よい刺激が必要である。

  3. 身体的拘束廃止をきっかけに「よりよいケア」の実現をめざす
    「言葉による拘束」にも配慮をする必要がある。

※身体的拘束廃止フローチャート参照

■身体的拘束発生時の対応に関する基本方針

身体的拘束は行わないことが原則であるが、緊急やむを得ない場合については、下記の運用によるものとする。

介護保険指定基準上、「当該入所者(利用者)又は他の入所者(利用者)等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合」には身体拘束が認められているが、これは「切迫性」「非代替性」「一時性」の3つの要件を満たし、かつ、それらの要件の確認等の手続が極めて慎重に実施されているケースに限られる。

※「緊急やむを得ない場合」の対応とは、これまで述べたケアの工夫のみでは十分に対処出来ないような、一時的に発生する突発事態のみに限定される。当然のことながら、安易に「緊急やむを得ない」ものとして身体的拘束を行うことのないよう、次の要件・手続きに沿って慎重な判断を行うことが求められる。

1. 3つの要件をすべて満たすことが必要

以下の3つの要件をすべて満たす状態であることを「身体的拘束廃止委員会」「運営推進会議」等で検討、確認し記録しておく。

切迫性

利用者本人又は他の利用者等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。
*「切迫性」の判断を行う場合には、身体的拘束を行うことにより本人の日常生活等に与える影響を勘案し、それでもなお身体的拘束を行うことが必要となる程度まで利用者本人等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が高いことを、確認する必要がある。

非代替性

身体的拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法がないこと。

*「非代替性」の判断を行う場合には、いかなる場合でも、まずは身体的拘束を行わずに介護するすべての方法の可能性を検討し、利用者本人等の生命又は身体を保護するという観点から他に代替手法が存在しないことを複数のスタッフで確認する必要がある。また、拘束の方法自体も、本人の状態像等に応じて最も制限の少ない方法により行われなければならない。

一時性

身体的拘束その他の行動制限が一時的なものであること。
*「一時性」の判断を行う場合には、本人の状態像等に応じて必要とされる最も短い拘束的時間を想定する必要がある。

2. 手続きの面でも慎重な取り扱いが求められる

仮に3つの要件を満たす場合にも、以下の点に留意すべきである。

  1. 「緊急やむを得ない場合」に該当するかどうかの判断は、管理者・介護支援専門員・計画作成担当者・介護職員の合意のもとに行う。「運営推進会議」において議題として上げ協議を行う。基本的に個人的判断で行わないこと。
  2. 利用者本人や家族に対して、身体的拘束の内容、目的、理由、拘束の時間、時間帯、期間等を出来る限り詳細に説明し、十分な理解を得るよう努める。説明は管理者及び計画作成担当者もしくはそれに準ずる者で行う。仮に、事前に身体的拘束について施設としての考え方を利用者や家族に説明し、理解を得ている場合であっても、実際に身体的拘束を行う時点で必ず個別に説明を行う。
  3. 緊急やむを得ず身体拘束を行う場合についても、「緊急やむを得ない場合」に該当かどうかを常に観察、再検討し、要件に該当しなくなった場合には直ちに解除する。この場合には、実際に身体的拘束を一時的に解除して状況を観察するなどの対応をとること。

3. 身体的拘束に関する記録が義務づけられている

  1. 緊急やむを得ず身体的拘束を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を記録しなければならない。
  2. 具体的な記録は「身体拘束に関する説明書・経過観察記録」を使用する。記録には、日々の心身の状態等の観察、拘束の必要性や方法に係わる再検討を行うごとに逐次その記録を加えるとともに、それについて情報を開示し、職員間、施設全体、家族等関係者の間で直近の情報を共有する。また、この記録は行政の監査においてもきちんと整備し閲覧して頂けるようにする。

■入所者等に対する当該指針の閲覧について

施設内に掲示するとともに、利用者及び家族、従業者等がいつでも自由に閲覧できるようにする。

■その他身体的拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針

身体的拘束等をしないサービスを提供していくためには、施設サービス提供に関わる職員全体で以下の点について十分に議論して共通認識を持ち、拘束を無くしていくよう取組む必要がある。

  • マンパワーが足りないことを理由に、安易に身体的拘束等を行っていないか。
  • 事故発生時の法的責任問題の回避のために、安易に身体的拘束等を行っていないか
  • 高齢者は転倒しやすく、転倒すれば大怪我になるという先入観だけで安易に身体的拘束等を行っていないか。
  • 認知症高齢者であるということで、安易に身体的拘束等を行っていないか。
  • サービスの提供の中で、本当に緊急やむを得ない場合にのみ身体的拘束等を必要と判断しているか。本当に他の方法はないか。

※身体的拘束等に準ずる行為と感じたら「ちょっと待って報告」により情報を公表することが、職員としての責務です。

身体的拘束廃止フローチャート

有限会社ソウルメイト岡山
グループホーム ねむの樹

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